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救急車の適正利用と医療機関との連携について

執筆者の写真: 市川まみ市川まみ

更新日:2024年3月20日

2023年10月11日

一般質問Vol.2

1.スタートアップ企業支援の現状と今後について

2.救急車の適正利用と医療機関との連携について



2.救急車の適正利用と医療機関との連携について

 令和4年の救急出動件数は1万622件と前年より1140件増えており、年々増加傾向にあるが、緊急性のない救急出動のために、緊急性の高い本当に救急車を必要としている人のところへの到着が遅れることが危惧されます。救える命を救うため、救急車の緊急度判断を医療従事者と行うことができれば、より素早い対応が見込めるのではないかと思い、以下質問します。 

(1) 医療機関との現在の連携体制はいかがか。

(2) 119番を受信した際、救急車を出動させることについて、医療の専門家の助言を必要と感じたことがあるか。

(3) 市内には救急科専門医はどれくらいいるか。

(4) 医療機関と消防機関のさらなる連携と救急隊員の知識・技術の向上を図るために救急ワークステーションを設置してはどうか。


37.45〜


◎市長(小長井義正 君) 救急車の適正利用と医療機関との連携についてのうち、医療機関との現在の連携体制はいかがかについてでありますが、医療機関と消防機関の連携体制は重要な課題であり、救急隊は、日頃から医療機関の医師及びその他の医療関係者と緊密な連携を図り、傷病者を適切に医療機関に搬送する必要があります。

 現在の連携体制といたしましては、消防本部が富士地域メディカルコントロール協議会の事務局として、医学的観点からの手順書である各種プロトコルの策定、医師の指示、指導、助言を行う体制の構築、救急活動の事後検証、再教育等について調整を図っております。また、中央病院及び蒲原総合病院において、救急救命士や救急隊員が適切な救急現場活動の実践を目的とし、病院実習を実施しております。


 次に、119番通報を受信した際、救急車を出動させることについて、医療の専門家の助言を必要と感じたことがあるかについてでありますが、119番通報を受信した際は、基本的に全ての事案に救急車を出動させており、通報時において消防職員側が医療の専門家の助言を必要と感じたことはないと認識しております。 救急車を呼んでもよいかといった相談を含めた通報につきましては、その方の置かれた状況や症状などをお聞きした上で、救急車の必要性を判断し、自力で受診が可能な場合には、最寄りの医療機関を御案内しております。 


 次に、市内には救急科専門医はどれくらいいるかについてでありますが、救急科専門医とは、病気やけがなどによる急病の方を診療科に関係なく診療し、特に重症の場合には、救命救急処置や集中治療を行うことを専門とする医師をいいます。この資格の取得に当たっては、病気やけがの種類、治療の経過に応じた豊富な経験と知識、適切な判断に基づいた診療科との連携が求められることから、医師免許の取得後、救急科の専攻医として、日本専門医機構が認定するプログラムに登録し、3年間の専門研修を修了するなどの条件を満たすことが必要とされております。

 市内公立病院における配置状況でありますが、救急患者への診療に当たっては、中央病院では各診療科の医師による当番制、蒲原総合病院では、主に医師登録会社からの派遣医師により対応しているため、いずれの病院にも救急科専門医は配置されておりません。また、民間病院及び診療所の勤務医における取得状況につきましても、市医師会に確認いたしましたが、把握していないとのことでありました。近隣市の病院におきましては、静岡県立総合病院、沼津市立病院、順天堂大学医学部附属静岡病院等で配置されていると伺っており、救急科が常設されている3次救急医療機関等に多く配置されております。 


 次に、医療機関と消防機関のさらなる連携と救急隊員の知識、技術の向上を図るために、救急ワークステーションを設置してはどうかについてでありますが、救急ワークステーションとは、研修先医療機関に救急自動車を配置し、救急救命士を含む救急隊員が病院実習を受けるとともに、医師による救急自動車同乗研修を受ける体制とされております。

 救急ワークステーションを設置することによって、医療機関と消防機関のさらなる連携が可能となり、救急搬送した傷病者の情報や診断データを救急ワークステーションで即座に医師と検証することができ、救急隊員の知識や技術の向上が図られていくと考えております。

 また、平成28年3月31日に、消防庁救急企画室長が発出した通知によると、救急救命士の再教育体制の在り方について、病院前救護に関する日常的な教育体制を構築した上で、活動実績に応じて医師の直接的な指導を受けることができる病院実習の体制を構築することとされております。再教育とは、研修及び病院実習等をいい、2年間で128時間以上であることが望ましく、うち病院実習は2年間で最低48時間を充てなければならないと定められております。本市では、2年間で64時間を救急救命士の再教育に係る病院実習に充て、残る64時間を救急救命士が行った特定行為、事後検証として医師から受けた指導及び各種研修会への出席などに充てております。

 この再教育に係る病院実習は、救急救命士が中央病院及び蒲原総合病院で行っており、中央病院では令和2年度から派遣型病院実習に切り替えました。派遣型病院実習は、救急救命士とそれ以外の救急隊員で構成する救急隊が、病院前救護に必要な医学的知識及び技能を取得、または維持することで、より適切な救急現場活動を実践する能力を養うことを目的に行っており、本市では、各救急隊を半日単位で順次派遣しております。この実習は、医師による救急自動車同乗研修を除けば、救急ワークステーション同様のものと考えております。救急ワークステーションを設置する場合には、設置場所や設備整備、維持管理等の費用負担、医師との連携や常駐する職員の確保など様々な課題があります。

 救急ワークステーションの設置については、現在の派遣型病院実習により、救急救命士の再教育体制が整えられていることから、現体制を維持することとし、設置のメリット、デメリットを検証して、その必要性について精査してまいります。 以上であります。


◆3番(市川真未 議員) 次に、救急車の適正利用と医療機関との連携についてですが、これについてはまず、救急車は救急搬送が必要な傷病者を医療機関に運ぶのに、なぜ消防が担っているんだろうという疑問と、市民からしたら無料のため、不必要な出動もあるのではないかという懸念から質問させていただきました。

 質問(1)の医療機関との現在の連携体制においてですが、中央病院及び蒲原総合病院においては、病院実習を実施しているとのことでしたが、こちらは何回行ったのか、お答えください。


◎消防長(清勇夫 君) 今、病院実習の回数ということでお尋ねがございましたけれども、正確な数までは把握してございませんけれども、病院実習につきましては、答弁にありましたとおり、病院側の受けられる時間帯によって、半日単位で救急隊を順次派遣しておりまして、年間を通して、先ほど答弁にもありました救急救命士の再教育に必要な時間数を満たせるような回数を実施しております。すみません、具体的な回数については把握してございませんでした。


3番(市川真未 議員) それでは、民間病院との実習、研修体制の構築はいかがか、お答えください。


◎消防長(清勇夫 君) 現在、病院実習につきましては、先ほど申しましたとおり、中央病院と蒲原総合病院ということで、公立病院との連携ができておりますけれども、民間病院とのそういった連携ということでの病院実習ということですが、相手方の受入れ体制というものがございますので、我々も受けていただける体制があれば、ぜひともそういったことでアプローチしながら、組み立ててはいきたいところでございますけれども、現状のところ、公立病院のほうでの受入れという形になっております。 以上です。


◆3番(市川真未 議員) それでは、例えば民間病院とは、もし相手側が受入れ体制を整えて、受け入れてくれるということでしたら、ぜひ一緒にやっていただけるということでよろしいでしょうか。確認です。


◎消防長(清勇夫 君) 議員のおっしゃるとおり、いろんな機関で、そういった病院実習等をさせていただければ、いろんな診療科目への対応もできると思いますので、そういった体制がある病院等であれば、ぜひ構築していきたいなと考えております。 以上です。


◆3番(市川真未 議員) 昨年度の救急車の出動件数が1万622件だったと思いますけれども、このうち転院搬送1646件、結構そういった中央病院だけではなくて、様々な病院が救急の場に携わっているということで、ぜひともほかの病院の質が向上してくれることにより、よりよい救急医療体制を富士市全体で築けると思いますので、ぜひ今後そういった話を進めていけるように、私たち議員も協力できればと思います。

 次に、質問(2)119番を受信した際、基本的に全ての事案に救急車を出動させており、医療の専門家の助言は必要と感じたことがないとの御回答だったと思いますが、救急車の適正利用の観点について専門家の意見を伺うのはいかがでしょう。例えば年末年始の発熱者が急増して、クリニックが閉まっているようなときでは、救急車の適正利用がより強く求められるかと思います。今の時期からセルフメディケーションとして常備薬を市民に準備してもらい、不要な救急車対応を防ぐことを啓蒙するなど、手段は様々あるかと思います。

 そういったことを、市内の医師会の先生方に意見を伺ってみてはいかがでしょうか、お答えください。


◎消防長(清勇夫 君) こちらの質問に対する答弁につきましては、119番通報を受信した際ということですので、まずは緊急性があるという前提に立っての受信ということになっております。ですので、また電話口での患者、もしくは家族の方からの通報内容だけですと十分な情報を得ることはできません。ですので、必ず現場に出動して、救急隊員もしくは消防隊員のほうが必ず患者の状態を確認した中で、安全かどうかを確認した中で、その場でのもちろん収容不可での引揚げとか、未収容で引揚げてくる事象もございます。やはり万が一ということがありますので、人命に関わることでありますので、必ず確認するといったことの流れであります。

 また、適正利用といった点につきましては、消防本部のほうでも予防救急ということで、いろんな問合せ先、夜間、なかなか開いていないときに、病院紹介をしてくれるような問合せ先を紹介したりとか、そういった冊子も作って配布等も行っておりますので、そういった点も含めて、今後また普及啓発していきたいと思います。医師へのそういった確認という点では、そういったものを作成するに当たっては、いろんなインターネットの情報ももちろんですけれども、市内の医療機関におきますドクターにも、いろんな意見等を確認した中で行っております。 以上です。


◆3番(市川真未 議員) 実際119番通報受信は電話なので、なかなか十分な情報を得られないというのは確かだと思いますし、こちらは命に関わることなので、判断するのはすごく難しいと思います。その中で、富士市は100%基本的には出動していただけているということで、逆に市民にとってはとても安心できる環境なのではないかと思います。そこで思うのが、やはり市民の意識の向上も同時に図る必要があると思いますが、正直、適正利用のポスターを見かけたことがありますが、この年々増加している救急要請に対して、それだけではやはり足りない部分もあると思います。

 そこで、聞いた話ですが、富士宮市では、市民にあえてLINEなどを通じて、救急車を適正利用していただけてありがとうございます。おかげで、今月は○○件でしたなどと、逆説的に市民に啓蒙しているようです。こちらはすごくポジティブでいい取組だと思います。このような啓蒙をすることにより、適正利用の向上につながると私は考えますが、いかがでしょうか、お答えください。


◎消防長(清勇夫 君) 今、適正利用につきまして、富士宮市の取組のほうを御紹介いただきましてありがとうございます。参考にさせていただきたいと思います。

 また、富士市消防本部におきましても、公式のSNS等を持っておりますので、そういったものを活用しながら利用していきたいと思います。 以上です。


◆3番(市川真未 議員) 近隣のいろいろなケースとかを聞くことにより、新たな気づきがあったりとか、もっとよりよいサービス、また市民へ気づきを与えることができると思いますので、ぜひこの辺り御検討いただければと思います。

 次に、質問(3)市内には救急科専門医がどれくらいいるかについてですが、現在市内には救急科専門医師はいないということは理解しました。しかしながら、今後どうしていくのかという部分に関してどのようにお考えか、お答えください。


◎保健部長(増田晴美 君) 救急の専門医に関しましては、現状は2次救急までというところで、現在の体制では必要ないという把握をしております。ただ、今後、新病院建設に関係しまして、3次救急を目指すというところでは、救急の専門医の配置というところが課題になりますので、新病院建設に合わせまして、その辺りは検討してまいりたいと考えております。 以上です。


◆3番(市川真未 議員) 実際2次救急の救急科専門医師について調べたんですが、2次救急の現場でもかなり多く働いているなというふうに感じました。新病院に当たってというところも検討していただきたいのですが、教育するだけでも3年以上かかるかと思いますので、こういった方針をぜひ早めに決めていただいて、そういった科を設置するには、私は実際どれぐらいかかるか分からないんですが、未来を見通して、今からぜひ検討していただければと思います。

 また、救急専門医だけではなく、救急対応ができるのであれば、例えば救急医療センターに常勤の医師を雇用するなどして、昼間の1次救急を少しでも減らす努力はできないのでしょうか。こちらについてもお答えいただけますでしょうか。


◎保健部長(増田晴美 君) やはり1次救急、2次救急を富士市は行っているわけなんですが、その中でも、救急科の専門医の先生がいらっしゃれば、迅速な対応、判断ということが適切に行えると、そこは承知をしております。ですので、富士市で専門医を育成していくという体制はなかなか難しいとは思いますけれども、ほかのところからそういった専門の先生を呼び込めるような努力は引き続き行ってまいりたいと思います。 以上です。


◆3番(市川真未 議員) ぜひこちらは引き続き御検討いただければと思います。

 現在は1日当たり約29件の救急出動が発生して、市民24人のうち1人が救急車を要請している中、中央病院では、内科、外科の先生が交代で担当していると聞いています。救急科専門医を置くことにより、現在担当している医師の負担を減らせるかもしれないと思うので、ぜひとも前向きに検討していただければと思います。

 次に、質問(4)医療機関と消防のさらなる連携を図って、救急ワークステーションを設置してはどうか。市長から、まず救急ワークステーションの定義についてお答えいただきましたが、本市の考える救急ワークステーションは、私には単発的に研修をしているだけのように思えます。 

 現在行っている実習は、医師による救急自動車乗車研修を除けば、救急ワークステーションと同様のものと考えているとのことでしたが、この医師による研修、つまり研修と現場を両方兼ねるOJTの経験が私は重要だと考えます。正直、そういった意味で私は皆さんと少し考えが離れているように感じました。

 例えば病院内にある救急ワークステーションに、常に救急隊が交代で待機していれば、研修をしながら、現場での業務を共に行うことで、お互いの知識レベルの向上を高めるのではないかと思います。

 そこで、現在ばらばらに活動している消防と医療機関のさらなる連携を図るため、私は新病院の構想の中に救急ワークステーションも設置していただきたいと考えます。そのためには、先ほどお話ししたような人材育成に3年以上かかる救急科専門医の設置も早めに検討する必要があると思いますが、この救急ワークステーションの設置についてどのようにお考えか、消防、病院、双方のそれぞれの御意見をぜひお伺いさせてください。


◎消防長(清勇夫 君) 救急ワークステーションの設置についての考えということで、先ほど市長答弁にもございましたとおり、現状としては、現在の派遣型病院実習である程度の成果は出ているといったことがございますけれども、今後、常駐型の救急ワークステーションにつきましては、まさに今、議員がおっしゃったとおり、救急隊が1隊常駐する形となりますので、先ほど来お話に出ています救急を専門に担当する医師等がいらっしゃれば、またそういう中でのさらなる救急隊員の資質の向上にもつながりますし、ひいては救急隊員の生涯教育の場として十分活用されていく場となるというふうに考えております。 以上です。


◎中央病院事務部長(芹澤広樹 君) 議員が御指摘になりました新病院建設に当たってというものでありますけれども、先般、議員の皆様にお示ししましたあり方検討報告書、あの中に基本的な病院の機能といいますか、役割についての本当に基本となる部分はお示ししたと思っております。ただ、あの部分というのは、病院が本来持つべき、例えば今のお話の中ですと、2次救急医療機関としてどのような役割を担っていくべきなのかという基本的な考えをお示ししてあります。ただ、今回のような救急ワークステーション、ある意味、病院に附属してくるといいますか、附帯施設としてどのようなものを受け入れていくのかという点については、まだ白紙といいますか、未定の状態であります。

 今後、病院建設を行っていくに当たりまして、実際の工事期間の前に設計する、あるいはどのような病院にするか、最初に決定していくという、例えば基本構想をつくる、あるいは基本計画をつくる、そういう時期がまだこれから始まります。残っています。そういうときに、今のワークステーションについても、どの程度の機能が必要なのかという部分については検討していきたいと思います。 以上です。


◆3番(市川真未 議員) 常駐型のワークステーションは基本的に病院の中というふうに考えているので、そういう意味では、病院側にしっかりと検討していただく必要があると思うんですが、新病院のほう、今検討されていますが、決定して、後から救急ワークステーションをつけるということは難しいと思います。

 だからこそ、今から大きな構想として、ぜひとも検討の場でこういったことを頭に置いてほしいと考えます。せっかく多額の費用をかけて造る予定の新病院です。令和18年度に開院、つまり10年以上先のことですが、今から大きなビジョンを持っていくことが私は大切だと思います。

 新しいことをするには大変な労力が必要だと思いますが、それにより将来、よりよいサービスが提供できて、働いている人たちの環境も改善されるのではないかと思います。

 今の病院を少しよくして、きれいになった新病院ではなく、時代や需要に合わせてしっかりと変化させた10年後の未来にできる新病院を期待しております

 以上で今回の質問を終わりにします。

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