稼げる公共施設を目指して
- 市川まみ
- 6月28日
- 読了時間: 20分
2024年12月10日(火)
一般質問Vol.7
1.ユニバーサル就労から考える雇用創出について
2.稼げる公共施設を目指して

2.稼げる公共施設を目指して
少子高齢化する社会の中で、行政も長期的な視点を持った経営手腕が試される。昨今、建設費用が高騰している中でも、まだ造ることが目的になっていないか。
持続可能な社会を目指し、今後建設予定の新病院と富士駅北口駅前公益施設について、以下質問する。
(l) 今後建設予定の新病院と富士駅北口駅前公益施設は、何年使用できる見通しか。
(2) 新病院建設の予算は、病院の収入で賄える範囲で考えているか。
(3) 富士駅北口再整備事業を行った場合と、取りやめた場合を比較したことはあるか。
(4) 富士駅北口駅前公益施設の建設費用高騰も予想されるが、その施設は稼ぐことができる施設なのか。
動画39.25〜
市長(小長井義正 君)
「稼げる公共施設を目指して」のうち、新病院と富士駅北口駅前公益施設は何年使用できる見通しかについてでありますが、本市では、公共施設マネジメント基本方針に基づき、一般公共建築物の長寿命化を推進しており、建築物の使用年数は、公共建築物長寿命化指針において、65年を目指すこととしております。新病院の具体的な耐用年数につきましては、計画的な設備改修も視野に入れながら、今後、策定する基本計画以降において検討を進めてまいります。
また、既に建物の基本設計を終えている富士駅北口駅前公益施設につきましては、目標年数である65年の使用を想定し、整備する予定であります。
いずれにいたしましても、新病院及び駅前公益施設には多額な経費が必要となるため、公共施設マネジメント基本方針の考え方にのっとり、できる限り長期間、安心して使用できる建築物としてまいります。
次に、新病院建設の予算は病院の収入で賄える範囲で考えているかについてでありますが、現在、策定作業を行っている基本構想におきまして、新病院本体の建設工事費は373億円と試算しましたが、基本計画以降の段階でかなりの変動の可能性が含まれております。
特に全体事業費に大きな影響を及ぼす必要病床数につきましては、基本構想段階では450床程度を目安とすることを考えておりますが、適正な病床数については、基本計画の段階で継続検討してまいります。
新病院建設事業に当たっては、財源のほとんどを企業債で賄うこととなりますので、令和7年8月には国、県との事前協議を開始する必要があり、現実的に実現可能な企業債の返済計画を含めた収支計画を示すことが求められます。
新病院建設を実現させるため、現時点から経営改善の強化を進めており、あわせて、補助金活用などの財源確保策を検討しておりますが、国の医療制度の改正や、昨今の急激な建設コストの上昇により、収支の見込みは厳しい状況となっております。
しかしながら、中央病院は、富士保健医療圏における中核病院として高度急性期医療を担うほか、感染症、救急医療等も含めた幅広い医療を受け持ち、住民の生命を持続的に守ることで、安全・安心な社会づくりの一翼を担い続ける必要があります。
そのためには、まず市民にとって必要な機能を持つ病院であることが優先されると考えておりますが、必要病床数を見極めるとともに、病院の収入で賄える範囲を検証した上で、基本計画の策定段階において、規模や事業費について検討してまいります。
次に、富士駅北口再整備事業を行った場合と取りやめた場合を比較したことはあるかについてでありますが、富士駅北口再整備事業は、富士駅北口駅前広場整備事業と再開発事業の2事業の総称であり、各事業を実施した場合と取りやめた場合の比較は行っておりませんが、公益施設建設に係る経済波及効果及び再開発事業の実施に係る費用便益分析、専門学校誘致に係る経済波及効果について推計しております。
公益施設建設に係る経済波及効果につきましては、令和4年度に、建設投資額に間接効果額を加えた生産誘発額について推計を行っております。
この結果、新たに公益施設を建設した場合、建設投資額約18.3億円に対する市内への生産誘発額は約22.4億円であり、建設投資額の約1.22倍の経済波及効果があるとの推計であります。
また、再開発事業につきましては、再開発事業着手前の令和2年度に国土交通省が定めた市街地再開発事業の費用便益分析マニュアルに基づき、事業が実施された場合の費用と便益を貨幣尺度で計測する費用便益分析を行いました。
この結果、再開発事業に投資される約118.6億円の費用に対し、事業の実施によりもたらされる社会全体の利益である便益は約138.2億円であり、投資額の約1.17倍の効果が推計されております。
さらに、市が再開発事業敷地に誘致を予定している、1学年定員40人、3年制の専門学校が開校することによる経済波及効果につきましては、昨年度、文部科学省の地方大学が地域に及ぼす経済効果分析に基づき、推計を行いました。専門学校の開校に伴い、教育活動による効果や、教員や生徒の消費支出による効果などが想定され、これらを合算すると年間約1.8億円の直接効果額が見込まれており、間接効果額を含めると年間約2.8億円の経済波及効果が見込まれると推計しております。
本事業を取りやめることとなった場合は、これらの効果を得る機会を失うことに加え、公益施設の各機能の運営に伴う効果、商業施設の誘致に伴う効果、町なか居住人口の増加に伴う効果なども得られなくなるものと認識しております。
また、こうした推計結果以外にも、本事業を取りやめることは、今後の本市の都市づくりにとって大きな影響があるものと考えております。
本事業は、富士駅前の大型ショッピングセンターの相次ぐ撤退により、急速に中心市街地の活力が失われる中、平成24年に官民が協働して作成した富士駅周辺地区市街地総合再生基本計画に位置づけた重点事業であります。
これまで本事業を実現させるため、再開発敷地の地権者の機運醸成や交通事業者の合意形成等、数々の課題を乗り越えて事業化に至った経緯があります。
また、近年では、再整備事業を契機として、富士駅周辺を盛り上げようと、地元住民や商店街関係者だけでなく、近隣の学校や富士駅周辺地区とは関わりのなかった大学生や社会人もエキキタテラス等に参画いただいており、市民のまちづくり活動への意欲が高まっているところであると認識しております。
この好機を逃し、本事業を取りやめた場合、本市の重要な都市拠点である富士駅周辺の活性化、再生に向けた、ハード、ソフト、両輪の取組を再度推進することは難しく、人口減少時代の本市の都市づくりの方針である持続可能な集約・連携型の都市づくりの推進が後退するものと考えております。
昨今の物価高騰により、事業を取り巻く環境は依然厳しい状況でありますが、これらの事業を官民連携により着実に推進してまいります。
次に、富士駅北口駅前公益施設は稼ぐことができる施設なのかについてでありますが、本施設は、交通結節点としての機能を高めるとともに、魅力的な交流機能を配置することで、来街者数の増加や駅周辺エリアの価値向上を図ることを目的に整備するものであります。
施設に配置するブックアンドカフェや、ものづくりSTEAMラボ、キッズスペース等の市民利用につきましては、公共交通の待合時間や余暇活動などに気軽に御活用いただきたいと考えているため、利用料金を徴収することは想定しておりません。
しかしながら、少子高齢化社会の中で、長期的な視点から行政経営を推進するに当たり、施設の設置目的を損なわない範囲で少しでも財政負担を軽減できるような施設運営を実現する必要があると認識しております。
このため、現在、イベント・展示スペースの有料貸出しの可能性や、カフェ部分の賃料の在り方、デジタルサイネージの設置による広告収入等の収入確保策について、類似施設の状況を参考に運営スキームを検討しているところであります。
このように公益施設が整備されることで、来街者数の増加や周辺エリアの価値向上に伴い得られる効果と、施設自体から得られる収入の双方を見定めつつ、公益施設の整備・運営手法を検討し、整備効果の最大化を図ってまいります。
3番(市川真未 議員) 2項目の稼げる公共施設を目指してについてですが、まず、(1)今後、建設予定の新病院と富士駅北口駅前公益施設は何年使用できる見通しかということですが、病院は39年、私が後期高齢者となる頃、そして、駅前施設は65年後、私は100歳、まだ生きているかもしれません。新しい公共施設を造る上で、もっと長期的、そして、広い視野で考えてほしいと思い、今回、取り上げさせていただきました。
100年ほど前にガウディが亡くなりましたが、サグラダ・ファミリアは完成までに150年と言われています。ただ、普通の人間では、そんな先のことまでなかなか考えることは難しいと思います。NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」は3世代にわたるストーリーで話題となっていましたが、この駅前施設に関しては、それぐらい世代、時代が受け継がれる中で使われていく施設ということです。
そこで、資料を御覧ください。

富士市の将来人口推移なんですが、こちらは未来のことで、データは様々差異があるかと思いますが、これによると、新病院が2031年に完成して、2070年まで使うとした場合、2070年には今の人口24万7000人から10万人近く減って、14万人から18万人になります。その頃には65歳以上の人口が43%ぐらいになります。
駅前施設は2029年から2094年、2100年ぐらいまで使うということで、その頃には人口が10万人近くになっているかもしれません。
(2)の質問の新病院建設の予算は病院の収入で賄える範囲で考えているかの御答弁を聞く限り、結構、経営状況は厳しいのかなというふうに感じたのですが、中央病院事務部長、現状の収益状況はいかがかお答えください。
中央病院事務部長(青木洋 君) 現在の病院の収支につきましては、非常に厳しい状況です。本定例会の中で補正予算をお願いしまして、収支の見込みはかなり厳しく、マイナス補正をしましたので、年間の赤字額の想定は12億円です。
この主な背景は、国の医療制度の変更があります。私自身も驚いたのが、例えば国立大学病院は、収益を上げるのに最も適した病院というか、収益を上げてきた病院なんですが、その国立病院でさえも今年度の当初予算はマイナスの予算でした。それを中央病院と同じように収支を見直して、赤字額が42病院全部で235億円ということで、国が訂正をしました。
かといって中央病院がこのままマイナスでいいかというと、そうではありませんので、今後、この赤字をそのまま引きずっていったら、病院は建てられませんし、そもそも企業債の借入れができませんので、経営改善が必須だというふうに考えております。
3番(市川真未 議員) かなり厳しい現状をお答えいただきましたが、私も調べたところ、国公立の病院の96%以上が損益率がマイナスなんです。なので、これは国策の問題もあるかと思いますが、やはり市の中でも経営努力をする必要があると思いますし、実際、中央病院は大分頑張ってくださっているんじゃないかなというふうに感じています。
先ほども企業債が厳しいのではないかという話もありましたが、中央病院事務部長、このままで新病院の建設は可能というか、新病院建設自体の金額も大分高騰している中で賄っていくことというのはできるのでしょうか、お答えください。
中央病院事務部長(青木洋 君) 建設費も非常に高騰しておりまして、今のままでは非常に厳しいというふうに思います。これは経営の改善が必須でありまして、市長の答弁にもございましたように、今の時点から収支を改善していかないと、企業債の手続もできない可能性があります。
本年度に入りまして経営改善の準備をしてきまして、12月から本格的に改善に取り組み出しました。院長主導で職員全員に話をしていただきました。現在は、いろんな取組をしていく中で、例えば救急医療からの入院の強化だとか、どうしても中央病院の場合は、コロナ禍の期間中は入院患者に制限をかけざるを得なかったものですから、紹介が減った地域の医療機関があります。
そういったところには副院長が自ら出向いて、何とか患者を外に出さないでほしいということで、今、1軒1軒回っています。そんなこともありまして、本年度上半期の平均の入院患者数は350人でありましたが、12月に入ってからは420人とか、それだけ今上がっています。
ちなみに、1日50人、入院患者が増えるとどうなんだということになりますが、患者1人の1日の入院単価が7万円です。50人増えると1日で350万円、そうすると年間でおよそ12億7000万円の収支の改善が見込まれます。
ただ、これには大きなリスクがありまして、医師の働き方改革と看護師の環境が悪化しないかという問題が非常に気になります。なので、この辺は看護師と意見交換をした上で、病院の最大限の能力をまずは見極めるというところが大事だというふうに考えまして、今、院長を先頭に取組をしている最中でございます。
3番(市川真未 議員) 今いろいろ努力していただいているということで、例えば入院の強化だとか、副院長が自ら動いてくださっている結果、大分改善しているということで、本当にありがたいと思っています。
先月の新病院建設特別委員会の中でも、新病院の本体工事費については256億円から117億円増えて373億円、すごく大きな変更だなというふうに感じたんですが、本市の福祉拠点として、この病院というのは必要不可欠な存在だと思っています。
ただ、400億円近くの金額が投入されるということで、病院は既にそういうふうに企業努力されているということが分かったんですけれども、これは病院だけの問題じゃないと思います。本市を挙げた一大プロジェクトだと考えます。
今まで特別委員会だとか審議会を傍聴してきて、その中で話を聞いていると、従来の箱物の考え方で、病院のことしか考えていないなというふうに私は感じてしまったので、今回、一般質問で取り上げさせていただいたのですが、住民福祉向上のための一大プロジェクトだと考えたときに、私はもっと様々なエッセンスを取り入れていく必要があると思います。
社会保障費の膨張というのは、病院だけではなくて、市民・国民全体の課題だと思います。
ウィキペディアには、医療の役割について、人間の健康の維持、回復、促進などを目的とした諸活動と書いてあります。
医療の目的に関しては、患者の治療と人々の健康の維持、もしくは増進で、病気の予防も含むとされています。医療とは、病気を治すことではなくて、人の健康に関わることが役割です。だとしたら、できることというのはもっとたくさんあるかと思います。
例えば健康増進、健康寿命を延ばすための施設を新病院に併設するだとか、これは全部私が考えたことなので、実現可能かは分からないんですけれども、ただ、健康というのは、病気ではないということだけではなくて、肉体的、精神的、社会的に健康でなければ、健康ではないと言えると思います。
そのためには、適度な栄養、運動、休養も必要です。
そこで、国は健康増進施設認定制度というものを推進しておりまして、温泉と運動について大臣認定を行っています。
運動型健康増進施設として、メディカルフィットネスという医療的要素を取り入れたフィットネスがあります。これは、超高齢社会に入り、医療、介護における社会保障費膨張の問題で逼迫している現在の日本において大きな注目を集めている仕組みです。
富士山というパワースポットを見ながら、朝からヨガをするなんていうのは健康的で、そんな施設が併設された病院だったら、私は選ばれる病院になるのではないかなというふうに思います。こちらは高血圧や糖尿病治療のためのスポーツジムに通った運動療法も医療費として控除対象になります。
健康増進は、積極的に健康になるために取り組む攻めの姿勢が大切です。病気になってからでは遅いです。アメリカでは、西洋的病気を治す化学ベースの医療に加えて、東洋的自然治癒力を高める予防医療を組み合わせた統合医療がインテグレーテッド・メディシンと呼ばれ、多くの医療機関で取り入れられています。
また、食事も重要です。薬膳であったりだとか、オーガニックであったりだとか、体をつくるのはまずは食です。
ニューヨークのアダムス市長は、市が運営する公立病院で植物由来のプラントベースメニューを提供。これは食事から排出されるCO2を削減する取組の一環でもあり、つまり、SDGsの一環です。また、がん、心臓病など、様々な疾患によるリスクを下げるという効果も期待されるそうです。例えばそういったカフェを併設することで、体と環境の健康に寄与できるかもしれないと思います。
こういった施設を設置する場所というのが病院内で難しければ、例えば立体駐車場を整備して、空いたスペースだとか、その上層部に企業を誘致するなんていうやり方でもできるのではないかなというふうに思います。また、立体駐車場にすることで、濡れずに病院に行けるというメリットもあります。
また、もっと視野を広げてみると、こちらはグーグルマップの地図のほうを載せさせていただいているのですが、ちょっと見にくいかと思いますが、中央病院の近くには、ロゼシアターや中央公園などもありまして、週末にはどちらも多くのイベントでにぎわっています。しかし、ロゼシアターで一番大きなホールの客席数が1632席なのに対し、実は駐車場北側が300台、南側が200台、500台しかないんです。それに、その周辺には有料でも無料でも駐車場がほとんどありません。なので、イベントに行ったのに駐車できなくて諦めたという声も実際に聞いています。
対して中央病院というのは、ほとんどの利用者が平日です。中央病院の北側にある駐車場、これから多分、立体駐車場にする予定かと思うのですが、そちらを少し余裕を持たせて造るだとか、そうすることで、ロゼシアターや中央公園の利用者だとか、富士まつりの利用者だとかが週末に利用できる駐車場があると、にぎわい創出にもつながっていくのではないでしょうか。これは文化振興だとか交流観光にとても寄与すると思います。
病床数は、現在の520床から、新病院では450床で今のところは計画されているということでしたが、昨今の全国的医師不足だとか人材不足――現在使われているのが420床です。先ほどの50床増えたから、それで12億円増やせて経営改善という話もあって、そこはすごく難しいかと思うのですが、前提にありました人材不足という課題は、これからもっとのしかかってくるかと思います。
人口が25万人から、39年後ぐらいに14万人とか、18万人ぐらいになることを考えると、途中で例えばさっき伝えたような施設を併設する、もしくは、そういった施設にトランスフォーメーションしていく、変化していける施設であることが重要だと思います。
また、かかりつけ医を推進している中で、個人経営の病院の高齢化も課題だと思います。 総合病院で全て何とかするという意気込みも大切だと思うんですけれども、中央病院で働いていた人が独立という選択もしやすい土地を目指していくというのも1つだと思います。
病院だけに任せて箱物を造るのではなくて、庁内、そして、市内全体でこの一大プロジェクトに取り組んで、市民の健康増進だけではなくて、社会活動、そして、選ばれる富士市に寄与するような場所をつくっていただきたいと思います。要望させていただきます。
(3)の富士駅北口再整備事業を行った場合と取りやめた場合についてですが、こちらは比較を行っていないということでした。本来、比較をすることで、何のためにこの事業を行うのかという本質的な理由が見えてくるのかなと思って質問させていただいたのですが、改めて都市整備部長にお伺いしますが、こちらの再整備は何のために、そして、何を目指して開発するのでしょうか。
都市整備部長(鈴木潤一 君) 富士駅の再整備事業は何のために開発をするか、ある意味、目的ということでございますが、市長答弁にもありましたけれども、平成24年に官民が協働しまして、富士駅周辺地区市街地総合再生基本計画を策定いたしまして、駅周辺の総合的なまちづくりの基本的な方向性を示しております。
この計画では、富士市の玄関口、顔としてふさわしいまちの再構築の実現に向けまして、富士山の眺望を生かし、機能的でにぎわいと憩いのある空間を有するまちの形成を図るとしております。
また、本市の都市づくりの最上位計画でございます都市計画マスタープランにおきましては、集約・連携型の都市づくりを進めることとしており、富士駅周辺など、都市拠点に主要な都市機能を配置いたしまして、周辺地域と公共交通を連携することによりまして、まちの全体の魅力や活力の向上を図っていくものでございます。
都市拠点となる富士駅周辺は、あらゆる人が集まりまして、交流し、情報の発信を行うにぎわいの中心地として位置づけていく考えでございます。
3番(市川真未 議員) 今、富士市の玄関口としてということでしたが、まちの玄関口である駅というのは、そのまちらしさというのがすごく重要だと思います。
そこで、まちの個性、富士市らしい景色というのは何でしょうか。
以前、私が視察に行った八戸ポータルミュージアム「はっち」は、駅から1キロメートルぐらい歩いていったのですが、その途中に吹き出しで例えば朝市がすごいだとか、ここだけの話という情報があちこちに並んでいて、本当にあっという間に歩いて着くような、歩きたくなるようなまちになっていたんですが、これは、はっちにあるアーティスト・イン・レジデンスにいたアーティストが仕掛けたもので、結果、この方は、このまちを気に入り、移住されたそうです。
まちの個性は、そのまちの地形や風土など自然環境と、その環境で暮らしてきた人たちの営みが長い時間を経て、そのまちの歴史や文化となって、結果、そこに愛着や誇りを持つかと思います。
アーティストという個性を持った外の人がまちの魅力を浮き彫りにしてくれることはすごくチャンスだなというふうにそこに行ったときに感じました。
また、ミュージアムでは、八戸に関する展示物が多くて、行くだけでそのまちの歴史、文化まで知ることができました。
都市整備部長、富士市の駅前にも富士市を知ることができる仕掛けを、展示物でもいいですし、ぜひ何かしてほしいと思うんですが、いかがでしょうか、お答えください。
都市整備部長(鈴木潤一 君) 公益施設で現在考えておりますのが、講座ができるブックアンドカフェですとか、ものづくりラボを一体的に整備するということを考えておりますが、富士市につくって、今までは通過していた方が1回富士駅に降りていただいて、そこで富士市らしさを日本全国、あるいは、世界にも発信してもらうためには、富士市らしさの特徴はこの施設で出すような形で――いろんな運営に関しまして、これから公募をしてまいりますので、そういった中で、どういったことを発信していくかとか、富士市の一番の売りをここで発信できる施設づくりに努めてまいりたいというふうに考えております。
3番(市川真未 議員) ぜひ富士市らしさを取り入れた施設になるように要望させていただきます。
アメリカの女性ノンフィクション作家、ジェイン・ジェイコブズさんは、人間中心のごちゃ混ぜの都市として、お互いよく知らない緩やかな関係性こそが都市の本質だと説いています。
歩いていて楽しいストリート性が都市の魅力の源泉であり、用途や歴史が異なる様々な建物が混在して、様々な人が、様々な時間にいることでまちに活気、つまり、にぎわいが生まれます。
そんな都市の多様性が経済発展の源泉であるイノベーションを生むことにもつながると思います。
稼げるというのは、持続可能性において分かりやすい視点です。
稼げなければ、それこそ税金で支出して維持することがどんどん市民の負担となっていきます。
この人口減少の社会の中で、しっかりと時代に合わせて、まちがリニューアル、そして、施設がトランスフォーメーションできるということが重要であり、長期的かつ広い視点でまちづくりを考える必要があると思います。
今まで工業都市として発展してきた富士市では、スクラップ・アンド・ビルドのまちづくりをしてきたように思われますが、失われたものは取り戻せません。
テクノロジーの発展により、多拠点生活など、土地に縛られない生き方に変化している中で、選ばれる・住みたいまちとは一体何なのか、既存の住みよさや、どんな施設、どんな機能かではなくて、そこでどのように感じて、どんな行動を取って、何を経験できるのか、五感でその地域の歴史や個性も感じられる、個性的で、そして、時代に合わせてトランスフォーメーション可能な施設の検討をぜひとも要望して、以上で一般質問を終わりにします。
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