放課後等デイサービスと児童発達支援の今後について
- 市川まみ

- 10月4日
- 読了時間: 16分
2025年03月11日(火)
一般質問Vol.8
1.ふじさんてらすMierulaの活用について
2.放課後等デイサービスと児童発達支援の今後について

2.放課後等デイサービスと児童発達支援の今後について
放課後等デイサービスは就学している障害児、児童発達支援は未就学児が
対象であり、どちらも年々増加傾向にある。障害児の自立を促進させるため
の施設として、今後の在り方について以下質問する。
(1) 通所受給者証の発行要件と期間はいかがか。
(2) 各施設の指導はどのように行っているか。
(3) 各施設の障害児の自立支援を、市はどのように促しているか。
(4) 療育と教育の連携体制はいかがか。
動画38.50〜
市長(小長井義正 君)
放課後等デイサービスと児童発達支援の今後についてのうち、通所受給者証の発行要件と期間についてでありますが、通所受給者証とは、放課後等デイサービス等の障害児通所支援の利用を希望する障害児の保護者から申請を受け、心身の状況や介護の必要性等の聞き取り調査を行い、支援の種類ごとに支給量や有効期間を定め、交付するものであります。受給者証の対象となる障害児は、身体に障害のある児童、知的障害のある児童、発達障害を含む精神に障害のある児童または難病の児童とされており、医学的診断名や障害者手帳を有することは必須要件ではなく、療育を受けなければ福祉を損なうおそれのある児童を含むとされております。本市においては、障害者手帳の交付を受けている児童、障害により特別児童扶養手当等の受給対象となっている児童、特別支援学校または特別支援学級等に在籍している児童のほか、発達検査や医師の診断書、意見書により、発達の遅れや療育の必要性が認められる児童を交付対象としております。また、受給者証の有効期間につきましては、障害の程度や家庭環境が交付後に変化することがあるため、法令により1年以内と定められております。本市においても、障害児の状況を的確に把握し、提供されている支援を確認するとともに、適切な支給量に見直しを行うため、1年間を上限に交付しております。
次に、各施設の指導はどのように行っているかについてでありますが、各施設から月ごとに行われる障害児通所支援等に係る費用の請求に対し、市が適正に給付を行えるよう、随時、請求内容の確認や指導を行っております。また、運営管理に対する指導は、指定の権限を持つ県が実施しておりますが、施設に対する実地指導に同行し、設備や帳簿書類等の確認を行っております。これら事業所ごとに行う指導のほか、制度改正への対応等の全体に関わる内容につきましては、サービスの種別ごとに事業所が参集する会議等の機会を捉え、改正内容の解釈等について、講習の方式により伝達しております。
次に、各施設の障害児の自立支援を市はどのように促しているかについてでありますが、市では、障害児通所支援事業などの福祉サービスの提供や相談支援を行い、障害児の自立に向けた支援や、その保護者に対する支援を行っております。施設に対する支援としましては、施設の職員を対象に、障害に対する正しい知識や対応等を身につけ、支援の質を向上させることを目的に、富士市障害者自立支援協議会と連携して、各種研修会等を開催しております。この研修会では、障害特性など基本的なことを学ぶ新規採用職員向け研修や、障害児の心身の状況や生活の様子を把握し、本人の意思や保護者の思いに寄り添った支援を目指したアセスメント研修、事業所における支援計画である個別支援計画の作成研修等を実施しております。また、市内の放課後等デイサービスや児童発達支援事業所により組織される自立支援協議会のこども支援連絡会に本市も参画し、各事業所の現状や課題、支援方法についての把握や意見交換、課題の検討を行っております。このほか、家庭の事情により連携が難しい事例等では、学校や相談支援事業所等の関係機関と連携して、支援方法を話し合うケース会議等において、助言や指導、情報提供等を行っております。
次に、療育と教育の連携体制はいかがかについてでありますが、療育と教育の連携には、学校や障害児通所支援事業所等といった複数の関係機関が関わってくることが多く、切れ目のない支援を行うための福祉制度として、保育所等訪問支援が活用されております。保育所等訪問支援とは、障害児通所支援の一つで、保護者の希望により、支援員が保育園や小学校を訪問し、障害児が障害児以外の児童との集団生活に適応するための専門的な支援等を行うものであります。これにより、保育園や小学校、放課後等デイサービスでは、それぞれの場所での児童の様子や声かけ等の具体的な方法を共有するなど、連携した支援が行われております。また、昨年8月には、事業所と学校との連携を円滑に行うためのガイドラインを教育委員会と合同で作成し、関係機関に周知を行っております。今後も、支援を必要とする児童に対して、事業所と学校が協力して、適切な支援が行えるよう、関係機関との連携体制の強化に努めてまいります。
以上であります。
◆3番(市川真未 議員)
放課後等デイサービスと児童発達支援の今後についてですが、ここからは、放課後等デイサービスは放デイ、児童発達支援は児発と呼ばせていただきます。
どちらも18歳未満の未来を担う、多くの可能性を秘めた子供たちへの支援です。様々な障害を抱える子供たちをしっかりと早期にサポートすることと同時に、少しでも一人一人ができることを増やしていく、それが本人の生きがいにもつながると私は信じています。誰かがいないと生きていけないより、あなたがいてよかったと、どんな人でも社会の役に立てる、私はそんな世の中を目指すことが重要だと考えます。
そこで、質問(1)の通所受給者証についてですが、こちらは答弁の中で、法令で1年更新と決まっているということでしたが、更新に当たっての手続についてはどれぐらいの期間がかかるのかお答えください。
◎福祉部長(田代鶴記 君)
通所受給者証の発行までの期間という御質問だと思います。
まず、新規利用申請の場合は、例えば書類の不備だとか、書類がそろっていないだとか、特別な事情がない場合を除きまして、おおむね3日以内には受給者証の発行が可能となっております。
更新の申請の場合には、約2か月ぐらい前に案内通知を発送しておりまして、手続をしてくださいということで促しております。このことから、受給者証の発行が遅くなって、利用者に御不便を生じさせるような状況ではないと考えております。 以上です。
◆3番(市川真未 議員)
発行に当たって、診断書や検査結果など、根拠的なものは必ず提出が必要なのかお答えください。
◎福祉部長(田代鶴記 君)
根拠となるものとしては、医師の診断書や意見書というものがございます。この添付を毎回求めるのかということだと思うんですが、医師の診断書や意見書については、対象者であるかの確認ということで、初回申請のときには必ず添付をしていただく必要がございます。
この取扱いについては、各市町で扱いが違います。本市の場合は、初回の申請以降は、前回の提出から数年が経過しているということで、状況が変わっているということ、何かの節目、例えば小学校の高学年になったとか、中学校や高校への進学のタイミングとか、そういった場合には提出を求めていますが、毎年求めているという状況ではございません。 以上です。
◆3番(市川真未 議員)
更新のときには必ずしも医師の診断は求めないということで、毎年更新するときに、毎回提出するんだったら、結構大変だなと思ったんですが、その辺りは安心いたしました。
放デイについてですが、この数年で町なかに放デイが本当に増えたなというふうに肌で感じているんですが、2012年から始まったサービスだったかと思うんですが、そこから2020年度までの放デイの伸び率が何と七、八倍です。富士市も同様に、年々増加傾向にあると感じています。
インターネットで調べると、総量規制なんかにより、新規開業ができない市町村も出ているとありますが、静岡県もしくは富士市について、そういった規制はしているのかお答えください。
◎福祉部長(田代鶴記 君)
放課後等デイサービスがかなり広がっているということで、総量規制ができないかという御質問だと思います。
放デイを含みます障害児通所サービスというのは県の指定となっております。新規事業所の指定申請につきましては、市は意見書をもって指定権者である県に対して、例えば市の障害児福祉計画だったり、障害福祉計画において基盤整備計画がありますので、その整合性とかを図って、必要性について意見を県に出すことはできます。ただ、そこまでということで、総量規制をかけられるまでの権限は市にございません。 以上です。
◆3番(市川真未 議員)
総量規制を市がかけることはできないというふうに確認しました。
次に、利用者の方についてなんですが、利用者も年々増加傾向にあるということで、理由をインターネットで調べると、必ず女性の就業率の向上だとか、仕事のために子供を預けたいという家庭ニーズからというふうに出てきます。障害児の支援なのに、なぜそれが理由になるのか、ちょっと私には分からなかったんです。
そこで、資料を御用意させていただいたので、御覧ください。

この資料は政府統計のデータベースのほうから作成した富士市の子育て世帯の年収分布グラフと各施設の利用料金を示したものです。まず、児発は、未就学児に対する支援で無料です。小学生が放課後に行く施設というと、放デイと放課後児童クラブがありますが、世帯年収がおおむね890万円以下の場合、放デイの月の上限額は4600円に対して、放課後児童クラブの利用料金は9000円です。富士市の子育て世帯、約3万4530人のうち2万7000世帯、つまり、80%近くが世帯年収がおおむね890万円以下であり、その世帯の放デイの負担上限額は月4600円です。
過去の委員会において、放課後の過ごし方として、放デイ、児童クラブ、どちらに行けばいいのかということを質問されたときに、当局のほうから、保護者の希望によるという御答弁がありました。実際に保護者からすると、福祉サービスだと送迎サービスもついていますし、より安い放デイのほうがお得だと感じて、放デイのほうに行かれる方というのはいるんじゃないかなというふうに思います。ただ、これは療育支援の場であるべき放デイの本来の在り方と実情が少し違うのではないかなというふうに私は感じています。
また、事業費の負担については、国が2分の1、県と市が4分の1ずつ支出していますが、年々増加しているということで、今後も市の負担が増えていく。これは今後、人口減少社会における、より一層の未来への負担になると私は懸念しています。
次の指導についての質問ですが、実はといいますか、2017年に御殿場市のNPO法人が運営する神戸地区にある事業所が行政処分を受けました。内容としては、勤務していない指導員を勤務表に位置づけるなどした運営基準違反、サービスを提供していない日にもかかわらず、給付を受けた不正請求、監査において実態と異なる記録や勤務表を提出したり、事実と異なる説明を行った虚偽報告、そんないろいろな不正事実が明らかになって、6か月間、行政処分が行われました。
このようなことが二度と起こらないような、再発しないようなチェック体制になっていると言えるのかお伺いします。
◎福祉部長(田代鶴記 君)
先ほど申し上げましたけれども、放課後等デイサービスにつきましては、県が指定権限を持っているということで、これの運営指導する権限も県にあるということで、市が単独で運営指導とか監査等を実施することはできません。
市の強化ということですけれども、放課後等デイサービス以外にも、市の権限で実施できる事業所もございます。市の権限で実施できる事業所指導や、監査機能の体制の強化のために、事業の質の確保と給付費の適正化を図ることを目的に、今年度から福祉総務課の課内室として、福祉指導室を設置しております。福祉指導室でございますけれども、これまで福祉部の各課で実施していた社会福祉法人の指導監査に加えまして、市に指定権限のある障害相談支援事業所であったりとか、それから、これまでこども未来部保育幼稚園課で行っていた教育・保育施設等の指導監督業務等を行うこととしております。
これまで各課でそれぞれ実施していた指導監査を一元化することで、さらなる監査機能の強化を図りまして、事務の誤りや不正等を未然に防止するためのチェック体制の強化に確実につながっていくというふうに思っております。まだできてから1年足らずですけれども、これからノウハウを蓄積して、ますます強力になって、こういったことに対応していきたいと考えております。 以上です。
◆3番(市川真未 議員)
これからもどんどんチェック体制の強化について御尽力いただければと思います。
実際、全国的に放デイで倒産した企業のうち、利用者数の低迷によるものが一番多くて、34.5%なんですが、次いで、こういった不正請求だとか不適切な人員配置なんかによって行政処分を受けたものが31%もあります。2019年だけでも全国的に43件も行政処分が行われておりますので、こういったチェック体制の強化というものが自治体でも求められていると思います。
市単独でもこれから様々なチェック体制の強化を行っていただけると思いますが、市議会として、もしも県や国に要望すべきことなんかがあれば、ぜひ一緒に前に進めていければと思いますので、その辺りもいろいろと議会の中でも話していきたいと思います。
次の障害児の自立支援を市がどのように促しているかについてですが、御答弁としては、自立支援協議会やケース会議なんかで様々な学校だとかとも連携をしているというふうに認識しました。富士市はコミュニティ・スクール体制も取り入れていますし、事業所だけではなく、学校、家庭、地域、社会全体で見守るということがすごく重要だと思います。
また、保護者の方へのケアもされているという御答弁だったかと思いますが、ここもすごく重要だと思っていまして、例えば放デイだとか児童クラブに預けることで、子供から離れる時間ができて、精神的なゆとりが生まれることで、育児にも積極的になれたりだとか、保護者の様々なスキルアップといいますか、知識、どういうふうに子供と接することがいいのかといったところも意識を上げていく必要があるかと思います。
発達障害は、大体5歳ぐらいから集団生活の中で気づくことが多いかと思うんですが、例えば勝ち負けにこだわりが強くて、思いどおりにいかないと激しくかんしゃくを起こしてしまう子がいたときに、温度計のイラストで気持ちを表したもので、気持ちをまず本人に表現してもらって、それを今はこのぐらいいらいらしているんだねと大人が言語化する。そうすることで、感情を言葉に置き換えることができるようになって、かんしゃくを起こすよりも、言葉にしたほうがスムーズに感情を伝えられるというふうに子供が学んだりすることもできると思います。
周囲と違うことは問題ではなくて、それが理由で周囲とトラブルになることが問題だと思います。発達障害の診断よりも、子供の個性、特性を知り、どのような対応をすれば困り事を減らせるのか。例で挙げたかんしゃくを起こすというときも、その奥には何か分からないいらいらが隠れていて、かんしゃくを起こしてしまうんだと思います。そこで、早期にサポートをしてあげることで、大きなつまずきだとか、それこそ発達障害のほうに行ってしまったりだとか、そういったことも未然に防止できるかと思います。
自分の機嫌は自分で取る。大人はできると思うんですが、子供には難しいと思います。保護者や周りの大人が配慮することで、子供たちの自立を促していくことができると思います。
自立という意味で言うと、児発から並行通園や保育所等、また、放デイから児童クラブへの移行を目指すことが私は重要だと考えますが、全国的なデータで見ると、令和2年度に児発からそういった移行、放デイから児童クラブに移行した子供がいる事業所というのは全体のたった2割程度で、移行支援が十分に行われているとは言いにくい状況です。
質問(4)に移りますが、連携体制というところで、既に連携体制には触れさせていただいたんですが、世界を見ると、インクルージョン――包括的に、国籍、貧富、障害にかかわらず、全ての子供たちが一緒に学べる教育が進められています。ところが、これに対し、日本では、1979年に養護学校義務制を実施、つまり、選別、分離する分離教育が行われてきましたが、まだそんな風潮が残っているように感じます。 私は、人種差別は、その国の人を知らないから起こるんだと思っています。そこで、22歳で海外で生活を始めたときに、実際に様々な国の友人ができて、そうすると、その国に対する思い込みではなくて、その国の人の個性を知ります。その結果、差別というマインドはなくなるなというふうに実感しました。
国連では、全ての子供が障害の有無やルーツなどに関わらず、合理的配慮の下、同じ環境で学ぶべきだとしています。多様な子供が同じ環境で学ぶことで差別や偏見を減らし、多様性を尊重する心を育むことができると考えます。
そこで、福祉部長にお伺いしたいんですが、今後求められている放デイや児発のあるべき姿は何か、お考えをお聞かせください。
◎福祉部長(田代鶴記 君)
今後求められている放デイや児発のあるべき姿ということでございますけれども、先ほど議員のお話にもありましたけれども、その機能を使うべき人がしっかりと使う体制が一番大事だなと思います。そのためには、申請の際に医師の意見書だったり、診断書だったり、そういったことを求めて、保護者にとっては大変煩わしいことだと思うんですけれども、それを使うべき人がしっかりと使える体制を見極めていくことが一番大事かなと思っております。 以上です。
◆3番(市川真未 議員)
福祉部長と同じ考えで本当に安心しました。
今こういうふうに支援が受けやすい体制だから受けているという状況が、もしかしたら放デイの利用者の増加につながっているというふうに実際にデータの中で見てとれたんですが、支援の受けやすさや受皿が整っているということはすばらしいんですが、支援慣れしてはいけないと思います。
ラストフロンティアと呼ばれるアフリカのケニアに住んでいたとき、支援慣れこそが発展しない理由だというふうに実感しました。寄附や支援というのは麻薬と同じです。本来すべき支援というのは、お金をただ与えるのではなくて、技術を教えて、お金を得られるように自立を目指すものだと思います。
日本も福祉慣れしていると感じます。むしろ患者、ケアされる側をどんどんつくっていたりだとか、支援されて当たり前という感覚が生まれてきて、自立を目指さなくなってしまっている可能性もあります。補助金や助成金なんかにもそういった性質があるのではないかと懸念しています。支援したその先に、障害児が大人になったとき、どんな状態になっていてほしいかをしっかりとイメージした上で、どんな支援が必要かを考えることがとても重要だと思います。
私は、障害者と健常者がケアする、されるという非対称な関係ではなくて、地域で生活している子供は十人十色、その中にハンディがある子がいる、いて当たり前、多様な子供が存在することを前提にした支援が今求められていると思います。
障害児のいる保護者にとって、自分がいなくなったときがとても不安だと思います。だからこそ、社会全体で助け合う、地域コミュニティーとして、保護者や学校、支援員を孤独にさせずに、内外の多業種、多職種の人材がチームになって一緒に関わる。児童教育だけではなくて、社会全体で多様性を認め合い、支え合う、そんな社会を目指してほしいと思います。
以上で私の一般質問を終わります。



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